1 月 6 2009

ピエロの涙

MARIO DEL MONACO。マリオ デル モナコ。テノール(男性の高音を担当する声種の事。)のオペラ歌手です。少し昔の人で、1960年頃に日本に来て、その「黄金のトランペット」と称される、ドラマチックで、ものすごい迫力のある声を披露し、日本のオペラブームのきっかけを作った方だそうです。

僕も学生時代、彼の声に魅了されて繰り返しCDを聴きました。一番出し入れの激しかったCDで、いつも持ち歩いていた歌詞カードはぼろっぼろになっていました。好きなCDだから、綺麗に保管していたつもりなのに、今、古くなってぼろぼろになった物を見ると、愛情がわいてくるのが不思議です。

今日はその懐かしいCDの中から、久々にレオンカヴァルロ作曲のオペラ「I PAGLIACCI(道化師とか、ピエロという意味。)」という悲劇を聴いてみたのですが、素晴らしい曲と言うのは、何回聴いても、時間が経っても感動する物なのですね。毎日大学へ通う電車の中で涙ぐんでいた様に、今日もまた涙が溢れてきました。

特に、モナコさんの歌うPAGLIACCIは、妻を他の男にとられそうなピエロが、血の涙を流して叫んでいるような。ピエロの苦悶と狂気が伝わってきて胸が張り裂けそうになります。そして一番最後に、「La commedia e finita!(喜劇は終わりました!)」という台詞を聴くと、頭がバーンって。…拙い表現ですが…。ピエロに感情移入して流れていた涙は一端止まってすぐ後に、今度は感動の涙が溢れてきます。

僕にそこまでの感動を与えるモナコさんは、閉じこもった部屋から周りが引きずり出さないと、舞台に立たなかったり、公演前には「自分はもう駄目だ…」とつぶやいたりという逸話を残すような、繊細な面を持つ人だったようです。なのに何であんなに堂々としたかっこいい声が出るんでしょう…?繊細さというのはある意味、必要な物なのかも知れません。

それにしてもピエロって、リアルに考えたらちょっと怖いですね。人に笑われて、自分も笑っているあのメイクの下を想像すると震えが来ます。だから夜に見るピエロの人形って怖いんですかね…?